2013年09月29日

第71回 全道珠算競技大会レポート(2/2)

 さて, レポートの2回目は明るい話題メインでいきたいと思います。
 残された種目・部門は, 個人総合の同点決勝, つまりそろばん北海道一決定戦の模様でしょうか。
 第1回レポートで「復帰組が」云々と書きました。そういった話題も触れていきますよ。


 というわけで, 早速復帰組の話題です。
 前回の道央大会では伝説の(!?)工藤由起夫選手が復帰しました。工藤選手は16年ぶりと言っていたような気がします。そして今回復帰したのは, 谷口真一選手です。全国で名を轟かせる, というわけではありませんが, 彼の特徴はとにかく「正確である」の一言に尽きると思います。最後に出場した大会が平成18年1月に苫小牧にて行われた北海道珠算選手権大会ですから, 7年半ぶりの復活ということになります。その7年半前の最後の大会では, 見事満点(問題は全珠連通信大会のものです)を取得して同点決勝に出場しています。このときの優勝者は若松選手です。同点決勝は完全なるスピード勝負ですから, さすがにかなわなかったのでしょう。それでも, 満点を取ったという事実だけでも, その計算の正確さはおわかりいただけるかと思います。

 さて今回。そろばん北海道一を決定する同点決勝に進出した選手は4名。4名もの選手での同点決勝自体がもう何年ぶりのことかわからないレベルですから, それはそれは盛り上がりました。この大会の同点決勝は1種目ずつ採点しながら行われますから, なおのことさら盛り上がります。
 この同点決勝の問題のレベルは「そろばんやろうよ!!」にも記載していません。ここに紹介しますが, その問題のレベルには驚愕します。もともとこの全道大会の問題レベルが, そろばんコンクールの問題後半半分を制限時間半分にて, ということでした。そして同点決勝は, そろばんコンクールの問題ラスト 1/6(実際にとく問題から比較すると 1/5)を制限時間 1/10 で(みとり暗算は制限時間 1/9)です。問題は徐々に桁数を上げていきますから, 単純に計算量が 1/5 になるというわけではなく, もっともっと多いことになります。具体的には, 例えばかけ算は「6桁×5桁」の問題10問を制限時間1分, ということになります。みとり暗算に至っては, 5桁10口が2問, 6桁10口が3問を制限時間20秒という恐ろしさ。もう既に「何故終わるの?」と聞きたくなるレベルです。もちろん, 同点決勝出場者全員が終わるというわけではありません。つまり, 究極のスピード勝負と言っても過言ではありません。
 出場した4名を参加番号順に紹介しましょう。まずは若松尚弘選手。言わずと知れた2011年度のそろばん日本一です。この同点決勝の問題ですら, わり算では全問見直しができるという驚愕のスピードの持ち主です。2人目は若松彩選手。若松尚弘選手の妻となった彼女は, そろばん道東一を取るなど, その実力はだれもが認めるところです。昨年行われたそろばん名人戦では, 予選を突破してベスト16に入っていました。3人目は工藤由起夫選手。21年前のそろばん日本一です。そろばんを使いながら若松尚弘選手にひけを取らないスピードを誇り, かつ(私感ですが)若松選手以上の正確さを誇ります。ちなみに今回の大会の練習は前日に5回だけやりましたということでしたが, その5回とも満点だったそうです。そして当日も満点ですから, 満点以外はなかったということになります。最後の4人目が, 先に紹介した谷口真一選手。そもそも7年半振りの復帰ながら総合競技でしっかり満点を取るあたり, その正確さをうかがい知ることができますよね。
 1種目ずつ紹介しましょう。まずはかけ算。5桁×6桁を10問, 制限時間1分です。若松夫妻は共に暗算。工藤選手はそろばんと暗算のハイブリッド。そして谷口選手は完全にそろばん使用です。ちなみにこの問題レベルは, 整数問題か非整数問題があるかということは置いておいて, 日珠連の段位と同レベルですから, 10分で58問以上正解すれば十段ということです。10分で60問を日珠連十段レベルとすると, この同点決勝レベルはその約1.7倍のスピードが必要です。そもそも日珠連十段は全珠連十段の1.5倍程度のスピードが必要ですから, 全珠連十段レベルの約2.5倍のスピードが必要ということになります。もう少々判りやすく書くと, この同点決勝で30点取れば日珠連十段レベルです。結果は, 若松尚弘選手50点(満点), 若松彩選手35点, 工藤選手40点, 谷口選手30点。全員日珠連十段レベルは証明されました。特に谷口選手はすべてそろばんでこのスピードですから, さすがというよりありません。
 2種目目はわり算。11桁÷5桁を10問, 制限時間1分です。若松尚弘選手50点(満点), 若松彩選手40点, 工藤選手50点(満点), 谷口選手25点でした。一般的にかけ算よりもわり算の方がやさしいとされますが, この大会はかけ算とわり算が同一桁数(検定試験はわり算が1桁落ちるのが通例)ですから, さすがにわり算をそろばん使用はキツいといことでしょう。日珠連段位のわり算問題も「10桁÷」と1桁落ちています。ですからこの種目の25点も, 日珠連十段を取得するのに十分なスピードであると言えると思います。
 3種目目はみとり暗算。5桁10口を2問, 6桁10口を3問, 合計5問を制限時間20秒です。加減算2問のうち1問は補数問題(答えがマイナスとなる問題)となっています。筆者は全珠連十段ですが, 2問しかできません。恐ろしい設定です。結果は, 若松尚弘選手50点(満点), 若松彩選手30点, 工藤選手40点, 谷口選手40点でした。谷口選手, ここで初めて「最下位」ではない得点となりました。やはりこの設定で満点は「宇宙人レベル」でないと難しいということでしょうか(褒め言葉ですよ!)。
 この時点で, 若松尚弘選手150点(満点), 若松彩選手105点, 工藤選手130点, 谷口選手95点。1位と2位の差は20点ですから, 若松選手が最後のみとり算で2問間違えるということが起きないと逆転はありません。みとり算は計算量だけみるとみとり暗算よりも少ないですが, より正確さが要求される種目ですから, 意外と逆転もありえます。
 最後のみとり算。11桁10口を2問, 12桁10口を3問, 合計5問を制限時間1分です。みとり暗算よりも1.5倍ほど時間を掛けて計算しても終わる計算ですから, 4人とも満点の可能性はありますし, 先述したようにどの選手も間違える可能性もある問題です。結果は……若松尚弘選手50点(満点), 若松彩選手50点(満点), 工藤選手50点(満点), 谷口選手40点となりました。
 4種目の合計は, 若松尚弘選手200点, 圧巻の全種目満点でした。次が工藤選手の180点。そして若松彩選手155点, 谷口選手135点。こうして, 熱い熱い同点決勝は幕を閉じました。
 この競技の得点の途中経過は常にスクリーン(とはいえ会場左側の選手からは小さすぎて全然見えませんでしたが)に表示されており, 観戦している方々にも判りやすい状況になっています。やはり同点決勝はこのように多数の選手で行われると盛り上がりますね!



 かなりレポートが長くなってきましたが, 最後に都市対抗競技です。これも1種目ずつ行われ, その途中経過もスクリーンの表示されていますので, 参加者は各都市5名だけながらなかなか盛り上がる競技となっています。もちろん大本命は, 全国レベルの選手だらけの札幌でしょう。しかし, 1種目1問のみ, 読み上げ種目もあるというこのシステム上, どのような実力者も緊張からか間違える可能性があり, なかなかスリリングです。
 そして今回, 大事件が起きました。その種目は, まさかのわり算。大本命の札幌が, 5名中正解者が3名! 間違えた2名のうちの1名は, 北海道選手権者の経験もある選手! さすがに札幌の部からは「えーーーっ!」というどよめきが起こっていました。
 最後に優勝したのは, 5点満点(5人制回)×6種目で30点満点のところ29点を獲得した室蘭市でした。2位が函館市(28点), 3位が札幌市(27点)でした。ちなみに札幌市は, もう一つ読上算で1名間違えてしまいました。なお室蘭市の優勝は昭和57年大会以来実に31年振りのことでした。おめでとうございます!
 ……って, この31年前の都市対抗競技室蘭市チーム5名の中に, 筆者が含まれています。実に懐かしい限りです。

 以上, 今後とも熱い大会が増えてくることを祈りつつ, 今回のレポートを終了します。
posted by ma-. at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 珠算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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