算数・数学は, 例年通りA問題が「基礎・基本」の内容, B問題が「応用力」を問う問題となっています。
2回シリーズで, 今回出題されたB問題の中から, 小6, 中3それぞれについて注目したい問題を取り上げてみたいと思います。
今回は, 小学6年生の問題についてです。
紹介するのは, 大問 2 です。
ゆきこさんは, ふりこの実験を3つします。
実験では, ふれはばは変えないで, ふりこの長さとおもりの重さを変えたときに, 振り子が 1 往復する時間がどのようになるかを調べます。
《ふりこの図は省略》
(1) 実験1 では, ふりこの長さを 50cm, おもりの重さを 40g として, ふりこが 10 往復する時間を 6 回測定し, 下の表にまとめました。
ゆきこさんは, 上の表をもとに, 次の 2 つの式で 1 往復する時間の平均を求めました。
の 14.5(秒) は, 何を求めていますか。答えを書きましょう。
(2) 実験2 では, おもりの重さだけを 80g に変えて, ふりこが 10 往復する時間を 6 回測定し, 下の表にまとめました。
すると, 2 回目は正しく測定できていないことがわかりました。
ゆきこさんは, 2 回目の結果をのぞいて, 5 回分の結果を使って 1 往復する時間の平均を求めます。次の 1 から 4 までの中の, どの式で求めることができますか。1 つ選んで, その番号を書きましょう。
1 ( 14 + 15 + 14 + 14 + 15 )÷ 5 ÷ 10
2 ( 14 + 7 + 15 + 14 + 14 + 15 )÷ 5 ÷ 10
3 ( 14 + 15 + 14 + 14 + 15 )÷ 6 ÷ 10
4 ( 14 + 7 + 15 + 14 + 14 + 15 )÷ 6 ÷ 10
(3) 実験3 では, おもりの重さを 40g にもどし, ふりこの長さを変えて 10 往復する時間を調べ, 下の表にまとめました。
この結果から, 次のことがわかります。
「ふりこの長さを 2 倍に変えたとき, 10 往復する時間は 2 倍になっていない」ことを, 上の表の中の数と言葉を使って書きましょう。
最近のこういった調査関係の問題では, 図形の問題がやたらと凝っている印象があり, 実は今回も図形の等分を扱った大問 3(今回は紹介しませんが)もかなりの良問だと思います。しかし, 今回の私のベストヒットはこの大問 2 でした。
まず, 「平均」の考え方を理解していないと答えられない問題であること。(1) で出てくる「ゆきこさんの求め方」の式中,

また (2) では, 適さない数値を含んだデータを元に平均を求めようという問題で, およそ学校では扱わないだろう問題。しかしこれは, 例えばスキージャンプの得点など「データの最上位, 最下位を落として平均を取る」という手法にも繋がる重要な考え方です。データがあればいつでもすべてのデータを等しく扱うのが良いというわけではない, という教訓になっています。
最後の (3) も, 言葉で説明させるだけでも良問なのですが, 実験3 の関数の値が等差数列にキレイに並んでいることも嫌らしく(褒め言葉ですよ!), しっかり理解していなければ引っ掛かる問題でしょう。
以上, 様々なアプローチから, 様々な知識を組み合わせ, 言語能力をも駆使して考えさせるこの問題。確かにこういった問題を考えられるような思考力を身に付けた小学生が多くなると良いな, と思える問題でした。
今回紹介する問題は 1 問だけにしますが, 実は最後の大問 5 もなかなかの良問でした。しかし, 問題にあるグラフを作成する(この blog に上げるために)のが面倒すぎるので紹介するのは諦めます。グラフから様々なことを読み取り, 大問 2 よろしく最後には理由を言葉で答えさせるような構成になっています。
なお, 学力調査問題等については このサイト から見ることができますので, 直接ご覧になるとよろしいかと思います。
では, 次回は中 3 の問題についてです。