2013年07月14日

全珠連道央支部地区対抗珠算競技大会レポート

 去る7月7日(日), 表記大会が札幌の北海道経済センターにて行われました。
 この大会は, 道央支部の各地区に於いて1ヶ月以上前に行われた予選を勝ち抜いた選手のみが出場できる大会で, 自ずとそのレベルは高いものとなっています。
 今回は, 約16年ぶりに大復活を遂げた伝説の(?)選手も登場するということもあって, なかなか楽しい大会でした。
 では早速, レポートに入りましょう。


 北海道には, 2 名の全日本チャンピオンが存在します。2 人目は, 皆さんの記憶にも新しい平成 23 年度のチャンピオンである若松尚弘選手。
 そして 1 人目は, 平成 4 年度のチャンピオンである工藤由季夫選手です。工藤選手が「伝説」と呼ばれる理由はだた一つ。「そろばんを使用しての日本一」だからです。
(※訂正:北海道から全日本チャンピオンは 3 名存在します。詳しくは 10 月 27 日付けの記事をご覧下さい。(2013.10.27))
 全日本の問題と言えば, 全珠連段位検定の問題を制限時間半分で解くというもの。しかもこれで満点を取らなければ日本一にはなれないというレベルなので, 全問解ききれるスピードと, それらのすべてを正答できる正確さを兼ね備えていなければならないわけで, 特に前者の「スピード」に於いては, そろばんを使用していてはとてもこの制限時間では終わらない, というのが通常の考え方です。
 この中にあって, どうやって工藤選手はソロバンを使用して日本一になったのか。その理由が, この大会で明らかになるわけですね。

 個人総合競技は, 全珠連通信大会の問題を使用しています。個人総合競技は, かけ算, わり算, みとり算, みとり暗算の 4 種目, それぞれ 500 点満点, 合計 2,000 点満点となっています。全珠連の十段を取ったらひとまず 1,800 点くらいは取れるかな, といった難易度です。
 今回は本当にレベルが高い大会となり, 満点が 3 名出ました。その中に, 元日本一の 2 名が入っていたことは言うまでもありません……そう, 工藤選手も復活後初戦ながら満点を記録していました。さすがというよりありません。もう 1 名は, 常に全国大会でも入賞する実力がある高校生のエース, 浅野貴広選手です。
 さて, まずはこの同点決勝の模様を紹介しましょう。
 問題は, これまた全日本通信珠算競技大会の全国一を決定するための問題と同一のものを使用します。つまり, かけ算 10 問, わり算 10 問, みとり算 10 問の計 30 問を解き, 最初にいずれかの選手が挙手をした瞬間に止めになる, というルールです。順位は得点で決定しますから, スピードでかなわないと思った選手は正確に弾き, 全問正解してトップで手を挙げた選手が間違うことを祈る, という戦法もあります。それぞれ 1/5 ずつ問題があるわけですから, 通常の制限時間で全問解ける選手はこの決勝問題は 3 分で終わることが目安となります(実際にはわり算のように素早く終わる種目あるので, 2 分半程度が標準でしょうか)。
 工藤選手, 若松選手, 浅野選手が前に出て, 選手の方に向かって座って競技スタート。前の方に座っている選手は, その姿をすべて見ることができます。まずは全員暗算でスタート。そしていち早く工藤選手がそろばんを使い始めます。この瞬間, 誰しもが「あーあ, 工藤選手ってスピードではかなわないんだな」と思ったに違いありません。他の 2 人は最後まで暗算のままです。
 会場がシーンと静まり返ったなか, 最初に手を挙げたのは若松選手。そのタイムは 1 分 27 秒強という驚異的なものでした。通信の問題をちょうどで終わりきる選手の倍速ということになりますから, 恐ろしい限りです。しかも相手に浅野選手や工藤選手がおり, 若松選手にとっては「トップスピード」ではなく, 満点を狙ったタイムということになりますから, 更に恐ろしい限りです。
 交換採点が終わり, 司会者が 300 点(満点)からコールしていきます。満点の可能性があるのは挙手をした若松選手だけでしたが, 300 点では挙手なし。この時点で誰が優勝するかわからな状況になっています。次は 290 点……この時点で若松選手が挙手, 優勝が決定しました。このタイムで 1 問しか間違わない正確さ, 恐れ入ります。
 さて, 他の 2 名は何点だったのか。暗算オンリーの浅野選手とそろばん使用の工藤選手はどちらが上回ったのか, 非常に興味があるところです。まずは浅野選手。相手が若松選手(工藤選手の実力は噂でしかわかっていません)ということで, 自分の実力を上回るくらいにブッ飛ばして計算したようで, 得点は 230 点でした。そして注目の工藤選手。何と試答点(つまり 1 分 27 秒程度で解けた問題数)は 270 点だったとのこと。そして正答は, 240 点。どうやらやはり, スピード勝負に出て正確さがある程度落ちてしまったようです……というか, 試答点も正答点もオール暗算の浅野選手を上回っていました! 恐るべし, 16 年前の日本一!

 ちなみに, 高校生以上の部の 10 位入賞ラインは 1,900 点でした……これ, 全国でも余裕で 100 位以内に入れる得点です。レベルの高騰がヤバいことになっています。

 次は種目別, 読上暗算です。
 優勝候補の選手が欠席だったため, 誰が優勝になるのか楽しみだったのですが, 浅野選手が 5〜13 桁で見事優勝。全国レベルの実力をいかんなく発揮しました。次に 5〜12 桁で正解したのは, 高校を卒業したばかりの選手と, もう 1 名中学生になったばかりの選手。後者は昨年度小学 6 生のときにもも同じ桁数を正解しており, 逆に言うと 1 年間で 1 桁も上げることが出来なかったということになりますか。これからまだまだ練習するでしょうから, 浅野選手, そして今日欠席した選手をも抜くべく頑張ってほしいところです。
 だからというわけでもないんでしょうが, 小学5, 6年生の部の優勝桁数が 4〜7 桁というのはかなり寂しいところです。最も暗算の実力が伸びる時期がこのくらいの時期でしょうから, 1 人 1 人上を目指して頑張ってほしいところです。

 そして種目別読上算。これまた異常なほどのレベルの高さとなりました。
 常に聞き取れないほどの超絶スピードで読まれる第 1 問, 7〜16 桁の補数計算で, 2 名の選手が正解。浅野選手と, 新婚ホヤホヤの若松彩選手。読みのスピードも 28.6 秒という凄まじいものでしたが, 何とこの問題に 2 名とも正解。恐るべしです。結局第 3 問で浅野選手だけが正解したことにより優勝が決定, これで浅野選手 2 種目制覇です。2 位が若松妻, そして 3 位が若松夫(尚弘)でした。入賞席で夫婦が隣に座り……参りました(笑)
 今回の大会では, 桁を落とすことなく 7〜16 桁のみで小学 4 年生以下の部まで入賞が決定しました。超絶的なゆっくり読みではあるものの, いつもはそれでもなかなか正解が出ずに 15 桁, 14 桁と落としていましたから, レベルが上がったとみて良いでしょうね。各選手, これからスピードについて行けるように頑張って欲しいところです。読み上げが出来るようになると, 確実にそろばんそのものを弾くスピードが上がり, 実力アップに繋がりますから。



 というわけでレポートは以上なのですが, 最後に工藤選手。
 昼休み(同点決勝直後)も大会が終わってからも, 工藤選手の周りにはそのそろばんの弾きっぷりを一目見ようと人の山。まぁ筆者は同年代(工藤選手は私の 1 歳年下です)なので何となくその弾きっぷりは知ってはいたのですが, 改めてみるとやはり恐ろしい限りです。
 最もこのそろばんの弾きっぷりを堪能できるのがかけ算。実際には, まともに弾いてはいません。例えばある問題ができて答えを書き始めます。すると左手はすぐにワンタッチでご破算, その左手の人差指でチョンチョンといった感じでそろばんを動かしていきます。そう, さすがに左手ですべてを弾ききることはできないので, 一部を暗算で計算した結果を置いていくという使い方をするのです。それでも繰り上がりなどにもある程度対応していますから, これは完全にヘンタイというほかありません(褒め言葉ですよ!)。右手で 10〜11 桁の答えを書いている間に, この左手の計算は完了し, 続けざまに右手は次の答えを書き始めることができます。そう, オール暗算の選手と実質変わらないスピードで答えを「書き続ける」ことが可能なのです。ごく希に, 右手で答えを書いている間に左手計算が間に合わないことがあり, その時だけは計算の続きを右手も参加させて両手で弾くのですが, そのスピードがまた異常そのもので, 右手が参加したと思った少なくとも 1 秒後には計算が終わりやはり答えを書き始めます。
 いえ, 一見すればその恐ろしさはすぐに判ります。「あ〜あ, これはそろばんでも暗算に勝てるかも知れないわ」と……
 さて, 誰かこの技術を盗んで練習してみますか? 私は最初から「諦めます」(笑)。ごめんなさい。
 これでもまだ「練習不足」というんですから(確かに, 左で中指が余り参戦していませんでしたから(笑)……確か左手は人差指と中指を使ってましたよね?), 工藤選手の本来の実力が復活したときにはどうなってしまうのか……今から楽しみです。
posted by ma-. at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 珠算 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
工藤選手の左手は、人差し指しか使わないと「聞いています」。
次回全道大会までに、もう少し腕を戻したいと言っている「そうです」。
全部聞いた話ですが(笑)。
またお会いできるのを楽しみにしています。
Posted by yukky at 2013年07月14日 06:34
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